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「修繕」と「改修」の違い
2022.12.28
みなさんは「この言葉とこの言葉って同じ意味?」と思ったことはありませんか?
例えば「回答」と「解答」など一見同じ意味なのではないかと思いますが、ちゃんとそれぞれに違った意味や使う場面があります。
「回答」は相手からの質問に返す時に使う言葉で、
「解答」は問題やクイズなどを解いて答える時に使う言葉といった風にそれぞれ意味合いがあるのです。
大規模修繕工事で使われる言葉の中にも実はこういった似ているけれど違った意味をもった言葉があります。
それが「修繕」と「改修」です。「修繕」も「改修」も大規模修繕工事の中ではよく使われる言葉ですが、
このふたつの言葉に違いがあることは、一般にあまり知られていないことがほとんどです。
今回は「修繕」と「改修」の違いについて解説していきます!
◇もくじ
まず「修繕」から解説していきます。修繕とは、経年や何らかの外的要因による劣化、
不具合が発生した建物、建物の一部、設備、部材などに対して修理や取り替えなどの処置を行い、
問題部分の性能や機能を支障なく利用できるところまで回復させることを言います。
回復の度合いは応急処置的なレベルのものではなく、建物の建築当初の水準のまで戻すことが目標となります。
なお、大規模修繕工事と関わりの深い修繕計画では、この「修繕」を一定の年数ごとに計画的に行います。
劣化や不具合が発生したときにその都度行う場合は「補修」と言い、その場の一時しのぎの工事もあります。
ここまで「修繕」について解説してきましたが、修繕するメリットにはいったいどんなことがあるのでしょうか?
1 建物の安全性を守る
見た目にはわからなくても、建物内部では気づかない劣化が進んでいます。
建物は人間の身体と一緒で新築時は良くても年を重ねれば色々と不具合が出てきます。
私達が人間ドックを受け、何かあれば病院に行くように建物も劣化状況を知り、適切な時期での
修繕を行い安全性の確保が必要です。
2 資産価値を維持する
新築時は頑丈なマンションでも、経年劣化などによって不具合が生じます。
これを先送りにしていると外観の劣化が進み、放置したままにすれば新築のマンションや
定期的に大規模修繕工事を行っているマンションに比べ資産価値が大幅ダウンします。
そのため、資産価値を維持するためにもマンションの劣化は定期的に修繕する必要があります。
3 美観を損なわない
マンションは紫外線や雨などのダメージを常に受けていますが、特に外壁はそれらの影響を受けやすく、
剥がれや浮きなどの劣化が生じる場合があります。
外壁の劣化をそのままにしておくと、美観を損なうだけでなく、安全性が欠如します。
そこで、外壁塗装を含めた修繕工事を定期的に行い、建物を守り、外観を綺麗に保つことができれば、
居住者も快適に過ごせます。
続いては「改修」について解説していきます。「改修」とは、修繕工事に加えて、
さらに機能の向上を目指してグレードアップさせる工事です。
マンションに求められる性能・機能は住まいの変化や設備機器の進歩等により年々高まっており、
近頃の新築マンションの性能や居住性は著しく向上しています。
これに伴い、高経年マンションでは性能・機能面での陳腐化が進化し、資産価値が低下することにもなりかねません。
こうしたことから、高経年マンションの質及び価値を長持ちさせていくためには、
「修繕」による性能の回復に加えて、現在の居住水準・生活水準に見合うよう、
マンションの性能をグレードアップし、住みよいマンションにしていくことが重要になります。
このことから、「修繕」及び「改良」により建物全体の性能を改善する工事のことを「改修」といいます。
では、改修するメリットはどんなものがあるのでしょう。
1 建物の安全性が高まる
「修繕」でもお話したように建物は時間の経過とともに劣化します。
この老朽化は目に見える部分はもちろんのこと、外からは見えない部分でも起こるのです。
地震などの災害時に、老朽化が原因で崩壊してしまう建物も珍しくありません。
しかし、建物の改修工事を行うことで、新築時の耐久性を持った建物に変身し、
居住者が安心して暮らせる住まいへと生まれ変わります。
2 建物の利便性の向上
新築の時には最新の建物だとしても、長い年月が経過してくると古い建物へと移り変わっていきます。
時代の流れとともに便利だと感じることも変わっていきますね。
そこで改修工事をすることにより建物の機能性や居住者にとって利便性の向上が図れます。
建物内にスロープや手すりといったバリアフリー機能を備え付けることや、
元々あるマンション内エレベーターの老朽によるエレベーター取替、Wi-Fi設備の導入などの
利便性を向上させる改修工事は居住者にとってもうれしいこと尽くしです。
3 建物の資産価値を維持またはアップさせられる
建物の改修工事を行うと新築当時以上の状態に回復し、さらに機能性や利便性が高まっています。
そのため、建物の資産価値は元の状態に回復、もしくは新築当初よりも高い資産価値になる可能性もあり、
また、第三者への賃貸による高額家賃収入も見込めます。
「修繕」と「改修」の違いはいかがでしたか?
「修繕」はマンションの性能を維持し、見た目も含めてできる限り、建物を建築当初の水準にまで戻し、
工事に使われる材料も出来る限り当初と同じものか、それに近い材料を使用して行われる工事ですが、
「改修」は社会や時代の変化によって向上していく住環境の水準に合わせて、初期性能よりも高い性能や機能、
居住者を獲得することを目指し、建物初期よりもグレードアップさせ、建物の資産価値を向上させる為の工事になります。
マンションに住み続ける上で必須とされる大規模修繕工事ですが、「修繕」だけを行うのでは万全とは言えません。
より暮らしやすく価値のある居住環境を整備していくには、時代の変化に合わせた「改修」を
大規模修繕工事に組み込んでいくことが必要です。「修繕」と「改修」の違いについても理解を深めておきましょう。