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マンション大規模修繕工事でトラブル!?解決方法は!?~後編~
マンション大規模修繕工事でトラブル!?解決方法は!? ◆マンション大規模修繕工事でトラブルを発生させないための準備~後編 3回シリーズ最終回の今号は、どんなトラブルがあるのか?その対処方法はあるのか?考察してまいります! ========================================================================== < 目 次 > 【修繕積立金のトラブル】 01.大規模修繕工事費用の不足(修繕積立金が不足するケース) 【業者とのトラブル】 02. 工事費用の追加請求(当初見積書より費用が追加されるケース) 03. 施工不良(大規模修繕工事完了後に不具合が発生するケース) 04. 施工会社の倒産(大規模修繕工事完了前に倒産等するケース) 【入居者様・近隣住民様とのトラブル】 05. クレーム(臭い・騒音・プライバシー侵害等が発生するケース) 06. ベランダの私物(洗濯物や植栽等が邪魔になるケース) 07. 空き巣被害(足場や工事関係者を装って侵入するケース) 08. 車輌トラブル(工事車両の出入り、駐車場台数不足のケース) 09. 店舗の営業の邪魔になる(看板・店構えの視認性が悪化するケース) ========================================================================== 【修繕積立金のトラブル】 01.大規模修繕工事費用の不足(修繕積立金が不足するケース) マンションでは通常、大規模修繕に備えて修繕積立金を用意しています。 国土交通省ガイドラインのなかでマンションの専有面積あたりの修繕積立金の目安を設けており、これを参考に修繕費用を積み立てるのが一般的です。 引用元:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」平成23年4月_令和6年6月改訂 では、なぜ修繕積立金が不足するのか?理由としては、 ・修繕積立金滞納者増加 ・工事費、人件費の高騰 ・当初修繕積立金の金額設定が低い ・当初修繕積立金に段階増額積立方式を採用している などが考えられます。 下記円グラフを見てもわかるように、計画上の修繕積立金の積立額と現在の修繕積立金の積立額の差は、現在の積立額が計画に比べて不足しているマンションが34.8%となっており、不足がある割合が20%超のマンションが15.5%になっています。 引用元:国土交通省(平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状) 大規模修繕工事の費用に不足分を捻出する方法には、次のようなものがあります。(トラブル内容:対処法) 一時金を集める : マンション住戸数で等分し、一括徴収する。 不足分の費用を借り入れる : 金融機関(住宅金融支援機構等)から借り入れをする。 大規模修繕工事の時期を変更する : 安全性に関わる損傷を優先、他はタイミングを見極める必要がある。 大規模修繕の工事内容を見直し : 急を要す工事を優先、他は保留・延期をする。 修繕積立金の値上げをする : 数年前から修繕積立金の見直しをしていく必要がある。 < 重 要 > 大規模修繕計画の修繕積立金に関する計画自体を見直しましょう!!施工会社の変更も検討が必要かもしれません。 【業者様とのトラブル】 02.工事費用の追加請求(当初見積書より費用が追加されるケース) 当初の見積より費用がかかったとして、施工完了後に追加で費用を請求されることがあります。 この場合、マンション管理組合の承認を得ている工事および費用の請求であること確認してください。 ★万が一管理組合の承認を得ていないにもかかわらず、施工会社が独断で進めた工事に関する費用の場合は、支払い義務はありません。 03.施工不良(大規模修繕工事完了後に不具合が発生するケース) マンションの大規模修繕が完了後、数年経ってから建物に不具合が発生した場合は、まずどこで、どのような不具合が発生しているのか詳細を確認します。 施工箇所によって耐用年数は異なりますが、1年程度で不具合等出た場合は、ほとんどが施工不良によるものと思われます。 ★修繕工事の完了時に施工会社から発行される保証書の内容を確認し、施工会社に対応を依頼してください。また瑕疵保険の対象であれば、保険の活用という選択肢もあります。 04.施工会社の倒産(大規模修繕工事完了前に倒産等するケース) マンション大規模規模修繕工事は長期間となるため、大規模修繕工事が完了する前に施工業者が倒産や諸事情によって工事を継続できなくなる事態も起こります。 この場合は工事費用を清算し、速やかに次の施工業者に引き継がなければなりません。 ★施工会社選定は慎重に行いましょう。施工実績のみならず、経営状況等確認することも必要です。 【入居者様・近隣住民様とのトラブル】 05.クレーム(臭い・騒音・プライバシー侵害等が発生するケース) マンションの大規模修繕工事の間、居住者は大きな音や振動、粉塵被害のほかにも、窓が開けられない、ベランダに出られない、敷地内に居住者以外の人物が出入りする、大型車輌の出入りといった、さまざまなストレスが、マンションの居住者や近隣住人に降り掛かります。 当コラムでも、2023年4月に取り上げておりますので、そちらをぜひご覧ください。 ⇨ 知っておきたい!大規模修繕工事中の「音・埃・臭い」 06.ベランダの私物 ベランダは専有部分ではなく、共有部分となります。そのため、大規模修繕工事にあたっては、事前にベランダの私物を撤去するように呼び掛けをします。 修繕が始まっても、ベランダにエアコン室外機を除く私物(植栽や洗濯物など)が置かれていることが多々あり、そうなると修繕工事ができません。 作業日程が変更され、修繕計画の見直しや追加費用が発生する可能性もあります。 ベランダの私物を修繕工事が始まる前に片付けるよう、工事関係者はしっかりと告知をすることが必要です。 また居住者も、あらかじめベランダには私物を置かないようにしましょう。 07.空き巣被害 マンションで外壁の修繕を行う場合に設置する足場は、空き巣被害を誘発する原因となり得ます。 また、工事業者を装って、不審者が堂々とマンション内へ入ることも考えられます。 居住者は窓や玄関の施錠を徹底するよう気をつけましょう。 マンションの大規模修繕工事が完了するまでは、気を抜かず、居住者と工事関係者が連携して注意喚起をしていくことが重要です。 またマンション全体を覆う養生シートは、不審者が身を隠すスペースを与えてしまいます。透過性のある養生シートを導入しましょう。 08.車輌トラブル マンションの大規模修繕工事期間中は、工事関係者車輌がマンション敷地内に出入りします。工事車両用駐車スペースが足りない場合は、敷地内に代替駐車場も用意することもありますが、この代替駐車場は工事関係者専用となるため、居住者に不満の声があがるほか、工事車輌がイタズラされたり、あるいは、居住者の車両に見知らぬ傷がついているといったトラブルが発生することも考えられます。 居住者用駐車スペースと工事車両用スペースをきっちりと区分し、トラブルが発生しないように気をつけましょう。 09.店舗の営業の邪魔になる 1階に店舗や事務所といったテナントがある場合、マンションの大規模修繕工事の間、看板や店構えの視認性が下がることが考えられます。 着脱が容易な看板であれば、管理組合に相談し、許可を取って足場の目立つ箇所に移動して設置しましょう。 外壁に固定されている看板を着脱する場合は、テナント側の費用負担となります。双方確認相談の上、対処法を考えましょう。 マンションの大規模修繕工事は、マンションの快適性を維持し資産価値を保つために欠かせません。 しかし準備段階から施工完了後まで、さまざまなトラブルが考えられます。 マンション建築に関する知識のほかにも、建築業界に関する情報に精通していることや、複雑に絡み合う関係者と円滑にコミュニケーションをとるスキルが欠かせません。 マンションの大規模修繕をスムーズに進めるなら、知識と経験が豊富であり、かつ信頼のおける専門家・専門業者を選ぶことが重要です。 ========================================================================== 弊社は、建物躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事範囲・工事内容・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、ぜひ「株式会社大柿産業」までお気軽にご相談ください!
2024.6.12
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マンション大規模修繕工事でトラブル!?解決方法は!?~中編~
マンション大規模修繕工事でトラブル!?解決方法は!? ◆マンション大規模修繕工事でトラブルを発生させないための準備~中編 前回に引き続き、マンション大規模修繕工事で起こりうるトラブルを引き起こさないように、 事前に対応できる方法を考察していきます。 ===================================== < 目 次 > ①コンサルタントの選定 ②施工業者の選定 ③防犯対策 ④瑕疵保険の加入 ===================================== まず、マンション大規模修繕工事でトラブルを引き起こすことが無いように事前にしっかり 選定・対策することが、重要なポイントとなります。 ①コンサルタントの選定 マンションの大規模修繕工事では、マンション建築の専門的知識を持ったコンサルタントを 選任するか否かを選択します。 設計管理方式:コンサルタントを選出して、相談する 責任施工方式:コンサルタントを選任せず、全て施工会社に相談する コンサルタントはマンション管理組合は建築の専門家ではないため、管理組合では把握 しきれない建築に関する相談事に対応する役割をされます ※コンサルタントは、設計事務所が請け負うことが多いです。 ★コンサルタントに関しては以前のコラム(2023.7~8月)でもご紹介させていただきましたので、 そちらもご一読ください 2023/07:大規模修繕工事前のスケジュール~管理組合編 2023/08:大規模修繕工事のスケジュール~工事監理編 <大規模修繕にかかる相談先> コンサルタントの本来の役割は、依頼主であるマンション管理組合の利益のために中立な 立場で施工業者と管理組合の調整役となることですが、それでもマンションの大規模修繕に まつわるトラブルが発生した場合は、下記相談窓口をご活用されると良いでしょう。 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター 公益財団法人マンション管理センター ②施工業者の選定 マンションの大規模修繕では施工業者選びは慎重に行う必要があります。 ★施工業者の選定、種類に関しては以前のコラム(2023.9月)でもご紹介させていただきましたので、 そちらもご一読ください。 2023/09:大規模修繕工事のスケジュール~施工会社編 ★施工業者を選定する基準 マンションの大規模修繕工事を依頼する業者には、施工面での信用度がとても重要なポイントですが、 トラブルを起こさないためには施工以外の面についても検討することが必要です。 例えば、 ・マンション管理の関係者とは無関係の(利害関係の無い)業者も検討する ・依頼を検討する業者の規模や施工実績(施工内容重視)を確認する ・検討する業者に、予算内で施工が可能か確認する ・工事現場の人たちの安全確認スキル、コミュニケーションスキルを確認する 上記も確認して、よりスキルの高い施工業者を選ぶことをおすすめいたします。 ③防犯対策 マンション大規模修繕工事に便乗した犯罪には、どのようなものがあるでしょうか? ・足場があるため、侵入しやすい ・工事業者等、大勢の人が出入りしているので侵入しやすい ・工事で大きな音がするので、ガラス戸等壊して侵入しても気付かれない ・防塵防音シートに覆われているため、隠れやすく気付かれにくい このような犯罪を未然に防ぐための対策が必要です! ・侵入警報システムの採用 ・センサーライトの設置 ・防犯カメラの設置 ・工事関係者の判別 ・警備員の配置 ・金網の設置 ・透過メッシュシートの採用 ・戸締りの徹底 等 工事請負契約書に 「修繕工事中に空き巣被害があった場合、工事業者の責任は問わない」 と明記されていると、保証されないこともあります。(契約書要確認!) 万が一空き巣被害が起きたときのために、保険の加入を検討しましょう。 工事業者だけではなく、管理組合も保険に加入することが出来ます。 ④瑕疵保険の加入 マンションの大規模修繕工事を行う際は、瑕疵(かし)保険と呼ばれる保険に加入します。 瑕疵保険は工事を実施した部分に何らかの不具合があった場合に備えた保険です。 瑕疵保険は住宅瑕疵担保履行法に基づいて、国土交通大臣指定の住宅瑕疵担保責任保険法人により提供されます。 瑕疵保険を取り扱うのは以下の住宅瑕疵担保責任保険法人です。 ・住宅あんしん保証 ・住宅保証機構 ・日本住宅保証検査機構 ・ハウスジーメン ・ハウスプラス住宅保証 瑕疵保険に加入している場合、下記保証を受けられます。 ・完成後に発覚した不具合の修繕費用の80%が支払われる ・施工会社が倒産した場合は、工事費用を全額請求可能 他 図/引用元:一般社団法人 マンション管理業協会 瑕疵保険の修繕対象となるのは、修繕工事施工箇所のうち次の8ヶ所です。 ・構造 ・防水 ・給排水管 ・給排水設備 ・電気設備 ・ガス設備 ・手すり ・外壁タイル 図/引用元:一般社団法人 マンション管理業協会 瑕疵保険に加入する方法と契約期間 瑕疵保険に加入するためには、工事の際に保険会社による現地調査を受ける必要があります。 なお契約期間は、全ての修繕工事を完了した日から起算して5年が基本です。 図/引用元:一般社団法人 マンション管理業協会 次回は・・・ =============================================================== ◆マンション大規模修繕工事で発生するトラブルの例と解決方法 =============================================================== 弊社は、建物躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事範囲・工事内容・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、ぜひ「株式会社大柿産業」までお気軽にご相談ください!
2024.4.26
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マンション大規模修繕工事でトラブル!?解決方法は!?~前編~
<マンション大規模修繕工事でトラブル!?解決方法は!?> マンションの大規模修繕工事ではトラブルが発生することがあります。 居住者や近隣住民目線で、マンション大規模修繕工事で発生するトラブルにどういったものがあるのか、解決方法があるのか、3回に分けて考察していきます。 ============================================================= 【 目 次 】 ◆マンション大規模修繕工事でトラブルを発生させないための準備~前編 ①コミュニケーション ・マンション居住者 ・近隣住民 ・マンション管理組合 ②大規模修繕委員会 ・大規模修繕委員会の業務 ・大規模修繕委員会の設置時期 ・大規模修繕委員会の選任方法 ・大規模修繕委員会設置の注意点 ============================================================= マンション大規模修繕工事で発生するトラブルとはどんなことがあるのでしょうか? またトラブルを回避する手立てはあるのでしょうか? ◆マンション大規模修繕工事でトラブルを発生させないための準備 ①コミュニケーション マンション大規模修繕工事では、マンション居住者や近隣住民たちとのトラブルが大きなウェイトを占めます。 ◆マンション居住者 マンション大規模修繕工事では、事前に住民説明会を実施し工事施工内容等説明を行いますが、修繕工事が始まると居住者がクレームをつけることが多々あります。 ・騒音 ・振動 ・臭い ・埃 ・大型車輌の出入り ※2023年4月に公開した当コラムで、これらのクレームに関して詳細を掲載してありますので、是非ご確認ください。 事前説明会で詳細なスケジュールや作業内容、工事内容等説明があります。居住者からすれば詳細なスケジュールを把握することは難しく、実際に大規模修繕工事が始まるとトラブルとなることがあります。修繕工事の内容や場所が変わるたび、あれもこれもとクレームをつけたくなる事もあるでしょう。 ★事前説明会では、あらかじめ工事施工内容や工事時間帯について具体的に聞くこと、そして伝えてもらうことが必要です。 ◆近隣住民 マンション居住者から多いクレームは、近隣住民からのクレームにも直結します。特に工事用大型車輌が走行したり、作業員が出入りすることに対して、特に幼いお子様を育てている方々からは、不安の声も出ます。 マンション居住者であれば、「自宅マンションの修繕工事」ということで納得も出来ますが、近隣住民にとって「近所の大規模修繕工事」は、迷惑なこととしか感じられません。 ★近隣で大規模修繕工事が始まることが分かれば、トラブルをさけるために、工事施工内容や工事時間帯について具体的に聞くこと、そして伝えてもらうことが必要です。 ◆マンション管理組合 マンション大規模修繕工事に関する決定や最終判断は、マンション管理組合理事会が行います。理事会で承認されなければ、大規模修繕工事自体、施工されないこともあります。 ★マンション管理組合としっかり連絡を取り合って情報共有し、大規模修繕工事の施工業者との良好な関係を構築することがとても重要です。 ②大規模修繕委員会 マンション大規模修繕工事では、管理組合の中に「大規模修繕委員会」を設置して管理組合・理事会をサポートする役割を担います。 大規模修繕委員会は主に、理事会が決定するための判断資料を提供したり、理事会の指示で調査を行います。 ※戸数の少ないマンションであれば、必ずしも立ち上げる必要はありません。 ◆大規模修繕委員会の業務 大規模修繕委員会の重要な役割は、管理組合・理事会に代わって、大規模修繕計画を作成することです。 ・大規模修繕計画の立案 ・大規模修繕計画の見直し ・マンションの劣化状況の調査 ・コンサルタント会社の選定 ・施工業者の選定 ・工事費用の推計 ・居住者へのアンケート ・居住者の意見をまとめて工事内容に反映させる ★最終的な判断や決定以外のほとんどの業務を、大規模修繕委員会が担います。 ◆大規模修繕委員会の設置時期 マンションの大規模修繕工事は、着工までに1年半~2年程度の準備期間を要します。 その間に大規模修繕委員会を設置します。 ◆大規模修繕委員会の選任方法 「大規模修繕委員会」はマンションの居住者と、マンションの専門家が相談役として選任すると良いでしょう。 マンションに関する内容を審議するのが「大規模修繕委員会」です、部外者のみで運営するのは良いとは言えません。基本的には居住者からメンバーを選任することが大前提となります。 これに加えて相談役を担うマンションの大規模修繕工事に関する知識のある専門家がいない場合は、外部の専門家を起用することを検討ください。 ◆大規模修繕委員会設置の注意点 大規模修繕委員会の立ち位置を明確にし、業務内容の線引きを明確に行う 大規模修繕委員会を設置する際は、事前に管理組合の理事会に打診して総会で承認が必要 大規模修繕委員会は、マンションの修繕に関するほとんどの業務に関わりますが、最終的な決定を下すのは理事会です。大規模修繕委員会は理事会が判断し決定を下すための判断材料の提供や、修繕に関する実務を行うのみです。大規模修繕委員会が勝手に検討事項の判断や決定、承認を行った場合、トラブルに発展する可能性があります。 ★マンションの大規模修繕工事をスムーズに進めるためには、すべて管理組合に報告、連絡、相談して承認を得ることが重要です。 =============================================================== 【 4月公開予定 】 ◆マンション大規模修繕工事でトラブルを発生させないための準備~後編 ③コンサルタントの選定 ④施工業者の選定 ⑤防犯対策 ⑥保険の加入 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【 5月公開予定 】 ◆マンション大規模修繕工事で発生するトラブルの例と解決方法 =============================================================== 弊社は、建物躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事範囲・工事内容・工事スケジュールを組み、きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、ぜひ「株式会社大柿産業」までお気軽にご相談ください!
2024.3.26
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マンションの共有部分と専有部分!?
今回のコラムは、分譲マンションの入居者様が、 「知っているようで知らない、共用部分と専有部分」や「知らないことによるトラブル」等、紹介いたします。 =============================================================== <目 次> 1.分譲マンションの「共用部分」とは。 2.分譲マンションの「専有部分」とは。 3.分譲マンションの「専有使用部分」とは。 4.「共用部分」と「専有部分」の勘違いで起こるトラブル。 5.「共有部分」において知っておきたいルール。 6.まとめ。 =============================================================== 1.分譲マンションの共用部分とは? 共有部分とは区分所有者全員が共有する部分のことです。 区分所有法では「一棟の分譲マンションには『共用部分』と『専有部分』しか無い」と言われてます。 このことから、分譲マンションの共有部分とは、「専有部分」に属さない部分のことを言います。 また、「共有部分」は2つに分けることができ、区分所有法で定められた部分を「法定共用部分」と呼び、分譲マンションの規約により共用部分とされる、建物の部分及び付属の建物を「規約共用部分」と呼ばれています。 エントランスから各戸へ通じる共用廊下や通路などは「法定共用部分」の代表的なもので、管理人室や集会室などは規約共用部分となります。 具体的には次のとおりとなっています。 マンション共用部分の範囲 (国土交通省標準管理規約) ・エントランスホール ・廊下 ・階段 ・エレベータホール ・エレベータ室 ・共用トイレ ・屋上 ・屋根 ・塔屋 ・ポンプ室 ・自家用電気室 ・機械室 ・受水槽室 ・高架水槽室 ・パイプスペース ・メーターボックス(給湯器ボイラー等は除く)内外壁 ・界壁 ・床スラブ ・床 ・天井 ・柱 ・基礎部分 ・バルコニー等専有部分に属さない建物部分 2.分譲マンションの専有部分とは? 専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分(単独で所有している部屋内)をことをいいます。 具体的には次のとおりとなっています。 マンションの専有部分 <定義> 区分所有権の目的たる建物の部分 ・居住スペースの内装 ・共用管までの排水管 ・住宅用火災報知器 ・玄関扉の鍵 等 <所有権> 個人 3.分譲マンションの専有使用部分とは? バルコニーやポーチ、窓等は、その部屋に住む人しか使いません。 そのような場所のことを「専有使用部分」と言います。 住人が専用に使用する部分なので、専有部分だと思いがちでありますが、実は「共用部分」です。 たとえば、分譲マンションの一室を購入し、窓ガラスを遮光できるタイプに変えたいとします。 しかし、窓ガラスは共用部分にあたるため、たとえ分譲マンションの一室を購入したとしても、勝手に変えてはいけないことになります。 4.「共用部分」と「専有部分」の勘違いで起こるトラブル。 認識不足により、色々なトラブルが多くみられます。 ここでは、過去にトラブルが多く発生した例を取り上げてみました。 たとえ故意でなくても、問題が生じることがありますので注意しましょう。 例1:バルコニーでの植物栽培 バルコニーでの植物栽培は、多くの場合許可されています。 但し、背の高い植物等は一部制約されている場合や、完全に禁止されている場合もあるため、分譲マンションの規約を事前に確認することが必要です。 また、このほかにも専有庭に花壇を作る等の行為も、事前に確認が必要です。 ほとんどの分譲マンションでは、火災時の避難経路としてバルコニーを使用しています。 そのため、専有使用権がある場合でも、住民の安全のために一定の制限があり、外観の崩れやバルコニーの重さ等による破損防止の観点からも制限が不可欠です。 バルコニーで植物栽培している方は、今一度見直ししてみるといいでしょう。 例2:玄関前の廊下に私物を置いていて指導を受けた たとえ家の前であっても、玄関前の廊下は共有部分です。そのため、私物を置くことは許されません。 また、消防法の観点からも禁止されており、災害時などには、避難通路にもなるドア前の通路は、安全確保のため、綺麗にしておくことが大切です。 例3:結露対策で窓のサッシを交換した 冬になると結露対策などの理由から、窓サッシの交換を考える方もいらっしゃいますが、窓サッシは共用部分です。 一見、専有部分と勘違いがちですが、勝手に工事を行うことはできません。 他にも、インターフォンやドアの鍵等も共有部分に入りますので注意が必要です。 5.「共有部分」において知っておきたいルール 廊下やエレベータ等マンションの共有部分は住民全員が利用するので、ある程度のルールが定められています。 ルールを無視して使用すると、費用負担を迫られたり、訴訟に発展したりするケースもあるため、注意が必要です。 ここでは、共有部分に関して知っておきたいルールを解説します。 ◆ルール1:共用の物を自身で壊してしまった場合、修理費用は自己負担 たとえば、強風によって駐輪場の屋根が破損した場合は、自然に壊れてしまったため管理費等から支払われます。しかし、誤って廊下の手すりを破損してしまった場合は、壊した本人の自己負担で、修理を行うことが原則です。 ◆ルール2:共用部分のルールに違反したら訴訟になるケースも 共用部分は、住人みんなで使う部分なので、ルールを守り、お互いが配慮して生活する必要があります。 私物を放置したり、故意に汚したりしないようにしましょう。 ルール違反し、指導を受けたにも関わらず継続した場合や違反の程度が甚大な場合は分譲マンション管理組合の理事会で決議され、訴訟に発展することもあります。 6.まとめ 「分譲マンションにおける共用部分」については区分所有法や各分譲マンション規約により様々です。 室内のリフォーム等をお考えの方は、自分勝手な判断で工事を実施せず、まず、管理組合や管理会社に相談を行い、トラブルにならないよう注意しましょう。 =============================================================== 弊社は、建物躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事範囲・工事内容・工事スケジュールを組み、きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、株式会社大柿産業までお気軽にご相談ください!
2024.2.2
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建物調査・建物診断で何が分かる?<後編>
建物調査・建物診断で何が分かる?<後編> ~診断項目は?どのような状況になっている?~ 「建物調査・建物診断で何が分かる?<前編>」では、大規模修繕工事を行う時期の判断基準の例や、 対象マンション周辺の状況をしっかりと把握した上で工事を進めているか等、紹介させていただきました。 <後編>では、調査・診断に使う道具や調査箇所がどのような状況になっているのか、紹介していきたいと思います。 ◆◆=====◆=== 目 次 ===◆=====◆◆ 1.図面調査・アンケート調査とは? 2.目視・打診による調査とは? 3.調査する箇所は、どのような状況になっているか? 建物状況調査報告書とは? ◆◆=====◆====◆=◆====◆=====◆◆ 1.図面調査・アンケート調査とは? 設計図面や建物情報、過去の修繕履歴などを書類で確認します。 また、調査に置いて各戸に立ち入ることが出来ないため、バルコニー等の状態について区分所有者様へ アンケートを実施します。 大規模修繕工事は「共用部分」を対象としますので、バルコニー、サッシ廻り等が対象となります。 2.目視・打診による調査とは? 建物の漏水、仕上材の劣化や雨季について目視や打診による調査を行います。 主に伸縮テストハンマー(打診棒)、クラックスケール、デジタル膜厚計、水平器、下地探索用具等使います。 ①伸縮テストハンマー(打診棒) 外壁モルタルやタイル等納期状態を把握するため、伸縮テストハンマーを使用します。 このハンマーで軽く叩いたり転がしたときに発生する音によって、問題の有無を判断します。 ②クラックスケール 壁面のクラック測定をするときに使用します。0.2㎜以下の場合、耐久性上問題はありませんが、 微弾性フィラーの刷り込み等、簡単な補修が可能です。 ③デジタル膜厚計 ウレタン防水等の膜厚検査機械です。先端から針が出て、塗膜の厚さを測定します。 ④水平器 床や壁の水平や鉛直を測定する器具です。1/100単位で勾配を測定できます。 ⑤下地探索用具 表面下の支柱位置が不明の時に使用する器具です。 3.調査する箇所が、どのような状況になっているか?建物状況調査報告書とは? お住まいのマンションを、見ているようで見ていないことが多く、劣化が進んでいることがあります。 マンションの外壁や屋上、バルコニーは劣化がわかりやすいので、日々チェックしましょう。 他にも目視でわかる箇所がいくつもあります。 お住まいのマンションをご自分の目でチェックすることが、建物の劣化を進行させない1つの手段と言えます。 マンション管理組合様、あるいはご入居者様から建物調査・建物診断の依頼が入り、調査診断をし、 その結果をまとめたものが、「建物状況調査報告書」になります。 ≪外壁≫塗膜劣化(チョーキング) ≪外壁≫目地シーリングの劣化 ≪屋上≫防水層の表面劣化 日々、日射や雨風にさらされているため、劣化が進みやすい箇所です。 雨漏り等していなくても定期的に防水層を修繕することが必要です。 ≪バルコニー≫クラック及び爆裂 報告書では箇所ごとに劣化状況が4~5段階で評価され、建物にどのような劣化が起きているのかを写真などで 把握することができます。 この建物調査診断報告書を確認し、必要であれば2次診断・3次診断を行います。 建物調査・建物診断は有償となる場合が多く、費用はマンションの大きさや形状などによって異なります。 事前に調査・診断を行う施工会社や管理会社、コンサルタント会社(第三者機関)などに見積りを依頼して 実施を検討しましょう。 ********************************************************************* 弊社は、建物躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事範囲・工事内容・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、株式会社大柿産業までお気軽にご相談ください!
2023.12.18
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建物調査・建物診断で何が分かる?<前編>
「建物調査・建物診断で何が分かる?<前編>」 ~大規模修繕工事の前に調査しておくべきこと~ 当コラムで「建物の老朽化トラブル!建物診断ってどんなことをしているの?(2022.09.22)」を公開しておりますが、 今回と次回、「建物調査・建物診断で何が分かる?大規模修繕工事の前に調査しておくべきこと」と題して書いていきます。 ◇◆―――――――――――――――――目 次――――――――――――――――――◆◇ 1.「建物調査・建物診断」とは CASE1.長期修繕計画「外壁補修は築12年目」としていた場合 CASE2.「CASE1」と同じ長期修繕計画で、10年目で劣化が見られる場合 2.「建物調査・建物診断」でどこを見る? 3.「建物調査・建物診断」以外もチェックしよう! ◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇ 1.「建物調査・建物診断」とは マンション・ビルの大規模修繕工事は、経年劣化に伴う価値の低下を防ぐために行います。 そのため長期修繕計画を立て、その時期に近づくと「建物調査・建物診断」を行い、建物の劣化状態を客観的にとらえて 修繕工事が必要かどうかを判断します。 (現在、国土交通省は「大規模修繕工事は12~15年で実施することが好ましい」と指針を出しています) 外観に損傷が無い場合、一般的には修繕の必要があるのかどうかわからないことが多く、 その場合に「建物調査・建物診断」の報告が役立つことになります。 ※「建物状況調査」「建物劣化診断」等、業者によっていろいろな名称がありますが、内容は同じですので、ここでは、 「建物調査・建物診断」と記載いたします。 CASE1.長期修繕計画「外壁補修は築12年目」としていた場合 必ずしもスケジュール通りに実施するのが良いわけではありません。 長期修繕計画は建築材料の標準的な耐久性を基にした年数を想定して作成されていますが、周辺環境や気象条件、 利用状態等により損傷程度が異なります。外壁の状態は良好で修繕を数年後に実施してもよい状況なのに、 当初計画通り築12年目に実施すると、それは過剰な修繕になってしまいます。 CASE2.「CASE1」と同じ長期修繕計画で、10年目で劣化が見られる場合 「外壁補修は築12年目」まで数年あっても、見た目にも劣化が進んでしまっていて早急に修繕した方が良い場合もあります。 その場合「築12年目」まで先延ばしにしていると、激しい損傷が出てしまうかもしれません。 建物の状況を把握して、修繕が必要な時期がいつなのかを判断した上で、大規模修繕工事を実施するのがベストです。 そのための「建物調査・建物診断」なのです。 2.「建物調査・建物診断」でどこを見る? 「建物調査・建物診断」は具体的にどの箇所・どのような調査をするのでしょうか。 ◇建物調査・建物診断の主な内容 建物外周、屋内屋外共用設備、敷地内の外構部分等、調査は多岐にわたり、各場所を目視・触診・打診などで 劣化状態を調べ、外装材の浮き、ひび割れ、剥離、亀裂、チョーキング等チェックします。 手の届かない箇所、表面から見えない設備等を詳細に診断するときは、赤外線や超音波装置を使った「非破壊検査」、 対象部位の一部抜き取った「サンプリング検査」を行います。 こうして建物設備の現場を調査診断した結果を対象部位ごとに写真入りで記録し、修繕の緊急度を評価した 報告書にまとめます。 3.「建物調査・建物診断」以外もチェックしよう! 大規模修繕工事では、周辺にお住いの方々の生活にも影響を及ぼします。 ◇入居者様も近隣住民の方も工事を行う方も、周辺の状況により制限を受けることがあります。 近くに企業や学校があると、朝夕は多くの通勤通学者が周辺を通過します。 通勤通学時間帯は作業車両がマンション・ビルに入る時間と重なることも考えられます。その安全を確保するために、 交通誘導員を配置するなどの対策をとるものの、稀に作業に支障をきたす場合もあります。 また、JRや路面電車等沿線界隈の場合、列車等通行時には工事を一時的にストップしなくてはならない制限があります。 ◇大規模修繕工事と同時期に、他現場での工事開始や近隣道路の工事開始も考えられます。 作業車両やクレーン車等が時間帯によっては通行できないことがあります。 また、車で移動する場合、近隣道路が徐行、あるいは通行止めになる可能性があります。 さらに近隣道路の広さによっては、大型車の通行が制限されている場合もあります。 ❖建物調査・建物診断をする際に近隣調査も行い、フレキシブルな対応を考える大規模修繕工事業者を選ぶことが必要です。 ********************************************************************* 弊社は、建物躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事範囲・工事内容・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、株式会社大柿産業までお気軽にご相談ください! ★次回は「建物調査・建物診断で何が分かる?<後編>」を紹介いたします。
2023.11.17
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大規模修繕工事のスケジュール~施工会社編
前回のコラムでは、大規模修繕工事の「工事監理」について書かせていただきました。 今回は施工会社の「選定方法」と「工事スケジュール」について、確認していきたいと思います。 ~目次~ 1.大規模修繕工事施工会社選定方法 1-1.特命随意契約 1-2.見積合わせ 1-3. 競争入札 2.施工会社の種類 2-1.ゼネコン 2-2.大規模修繕工事専門施工会社 2-3.管理会社 3.施工スケジュール 3-1.大規模修繕工事のスケジュール 3-2.各工事について 4.まとめ ================================================================= 1.大規模修繕工事施工会社選定方法 大規模修繕工事を開始する約3~6か月前から施工会社を選定していきます。 この選定方法の主だったものが3つあります。 1-1.特命随意契約 国や自治体が公共工事の発注や物品購入において、特定業者を指名し、競争入札を行わずに契約を締結する方式。 一般工事ではあまり利用されておりません。 1-2.見積合わせ 特定の複数の業者に事前に見積条件を提示し、提出された見積の中から最も有利な条件を出した業者と契約する入札方式。 最終的に見積内容と施工業者の能力等を総合的に判断するため、最低額の見積もりを提出した業者に決まるとは限りません。 1-3.競争入札 最も有利な条件を提示した業者と契約締結するために、 複数の契約希望者に工事内容や入札金額を書いた文書を提出させて内容や金額から業者を決める方式。 実績の少ない業者でも入札に参加できるため、ノウハウや資金力のない業者が落札する可能性もあります。 上記のような選定方法によって、大規模修繕工事の施工会社を決定します。 2.施工会社の種類 大規模修繕工事の施工会社には、下記のような種類があります。 2-1.ゼネコン ゼネコンとは、「設計・施工・研究」を自社で総合的に行うことが出来る総合建設会社のことです。 ゼネコンは売上高によって3段階に分かれています。 スーパーゼネコン、準大手ゼネコン、中堅ゼネコン等、名前のよく知られた会社で安心感がある一方、 大規模修繕工事に特化した経験と実績は、施工会社によって異なります。 2-2.大規模修繕工事専門施工業者 大規模修繕工事に関わる塗装、防水工事等を担当し、実績を積むことで下請け工事から元請け工事をすることになった施工会社が多く、 専門の施工会社ならではの豊富なノウハウを持ち、状況に応じたきめ細かい対応ができます。 総合的な管理においては、しっかりとした打合せをしておく必要があります。 2-3.管理会社 マンションの管理会社に通常業務外となる大規模修繕工事も任せることで、 居住するマンションの状態を良く知っている点では信頼性があります。 ただし、第三者として客観的に見るという点では外部委託と比べ、 建物調査診断や設計、施工がしっかり行われるのかという不安があります。 工事内容(外壁工事、設備工事、耐震改修工事他)や建物規模・形状(タワーマンション、一般マンション他)等により、 施工会社の得手不得手があるので、納得いくまで検討し、大規模修繕工事を依頼することが重要です。 3.施工スケジュール 居住者にとっては生活をしながらの大規模修繕工事となります。 当コラムでも、『大規模修繕工事前に居住者が注意すべきこと!-ベランダ編-』で、 生活しながら特に気になるベランダ工事について紹介させていただいておりますが、 今号では各工事のスケジュールを簡単にまとめてみました。 3-1.大規模修繕工事の全体スケジュール 簡単に一般的な大規模修繕工事の全体スケジュール表が下記表となります。 3-2.各工事について 工事する箇所は多数ありますが、毎回同じ箇所を修繕工事するわけではありません。 ・屋根防水 ・床防水(バルコニー床、開放廊下、階段等) ・外部塗装等(躯体、コンクリート塗装、タイル、シーリング) ・鉄部塗装等 ・建具、金物等 ・給水設備 ・排水設備 ・その他設備 ・昇降機設備 ・外構、付属設備 ・仮設 等 このような箇所を周期または劣化状態に合わせて大規模修繕工事や修繕工事で対応していきます。 下記フローは大規模修繕工事の一例です。この工事の場合、工期は約4カ月となります。 〇仮設工事 ➡ 〇躯体調査・マーキング ➡ 〇下地タイル補修工事 ➡ 〇シーリング工事 ➡ 〇洗浄工事 ➡ 〇防水工事 ➡ 〇塗装工事(外壁・鉄部)➡ 〇足場解体工事 ➡ 〇竣工 ➡ 〇アフター ※ベランダの使用制限が2~3か月程度発生いたします。 4.まとめ 大規模修繕工事を施工する会社は数多くありますが、居住者にとっては生活しながら施工するといった 特殊な環境になるため、管理組合や大規模修繕委員会、工事監理は、工事の進捗や居住者への接し方など 最善の対応が出来るかを事前に確認したうえで施工会社を選択し、工事内容を決定する必要があります。 ******************************************************************************* 弊社は、建物躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事範囲・工事内容・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、株式会社大柿産業までお気軽にご相談ください! ★次回は「倉庫・工場の大規模修繕工事!」について紹介いたします。
2023.9.21
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大規模修繕工事のスケジュール~工事監理編
大規模修繕工事のスケジュール~工事監理編 前回のコラムで、大規模修繕工事の計画と管理組合の関わりについて書かせていただきました。 その中の「2-2.工事期間中(監理)」で少し触れていますが、今回は、大規模修繕工事において「工事監理」がいかに必要か、見ていこうと思います。 ~目次~ 1.工事監理とは 2.工事の発注方式とは 2-1.責任施工方式 2-2.設計監理方式 3.工事監理業務とは 3-1. 着工前 3-2.工事期間中 3-3.竣工~引渡 3-4.アフター対応 4.まとめ ================================================================= 1.工事監理とは 管理組合(区分所有者の団体)の代理をしていくのがパートナーとなる「工事監理者」です。 「工事監理者」=「区分所有者の立場になって工事の管理をしていく人」。 また、【工事監理】とは、建築士法第2条第7項に「工事監理の定義」として 「その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること」とされています。 そのため、工事監理は建築士の独占業務となっております。 2.工事の発注方式とは 前回コラム「管理篇」でも触れてありますが、大きく2つに分類されます。 2-1. 責任施工方式:工事を行う施工会社が調査、改修設計、工事までを一括発注する方式です。 2-2. 設計監理方式:工事を行う施工会社とは別に、設計事務所を選定し、一級建築士等の専門家に調査診断や改修診断等、 大規模修繕工事の計画策定や工事着工後の工事監理業務を委託する方式です。 ※住宅金融支援機構「大規模修繕の手引き」より出典 他にも、「CM方式(コンストラクション・マネジメント方式)」等ありますが、 これは管理組合に代わって、設計者や施工会社の業務を「第三者」としてチェックする方式になります。 ※CM方式は管理会社がマネジメントすることが多く見受けられます。 ※住宅金融支援機構「大規模修繕の手引き」より出典 3.工事監理業務とは 大規模修繕工事の場合、その着工前の工事説明会から工事完了後、各点検時期に応じて立ち合いするところまで幅広いサポートをしていく業務が「工事監理業務」となります。この業務には、主に下記業務があります。 3-1. 着工前 着工前に施工会社と工事範囲などの確認を行います。 また着工に先立ち、施工会社が主催する工事説明会の資料の事前確認・指導・立ち会いを行います。 ・工事請負契約のサポート ・施工会社との打ち合わせ ・契約書の内容確認 ・工事説明会開催サポート ・施工計画書確認 他 3-2.工事期間中 多くは現場の定例巡回を行い、月に1回態度「施主定例会」を実施します。さらに定例会までに行った工事監理と各種検査の報告を行います。 ひび割れ補修の調査等工種が変わる際や足場解体前検査、工事竣工検査などの重要な検査の際には、複数の検査者を動員することで抜けや漏れを防ぎます。 ・毎週巡回管理 ・毎週定例会議 / 二社(施工会社・設計事務所) ・毎月定例会議 / 三社(管理組合・施工会社・設計会社) ・広報活動 / 工事中にも居住されているため、工程表を掲示、お知らせを配布する。 ・定期検査・中間検査・消防検査・竣工検査 ※中間・竣工検査は管理組合立ち合いの元行われます。 他 3-3.竣工~引渡 引渡しの前には、最終的な検査を行います。竣工検査時の指摘箇所の是正確認はもちろん、最終報告書の確認も実施します。 また施工会社とは別に、監理会社として監理業務報告書を作成します。 ・施工会社から提出される竣工図書の作成指導、内容確認、承認 ・工事全体の状況、工事記録、指摘事項、是正記録等のまとめ、工事管理報告書提出 他 3-4.アフター対応 施工会社によるアフター点検(工事完了から概ね1年後)に立ち会い、その状況を確認。 必要に応じて施工会社に指導を行います。以後のアフター点検を施工会社のみで実施するための指導も行います。 4.まとめ 大規模修繕工事に工事監理者を置くことで、管理組合のパートナーとして、大規模修繕工事に精通した専門家を活用することが可能です。 管理組合と同じ目線で工事を監理するプロがいることは、管理組合、入居者にとっても大変心強いことだと思います。 大規模修繕工事の期間中は、煩わしく日常生活がしづらくなることが多いですが、工事期間中の生活が、少しでも快適なものになるよう管理組合、工事監理者と密に打合せをしていきましょう。 ******************************************************************************* 弊社は、躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事内容・工事範囲・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、株式会社大柿産業までお気軽にご相談ください! 責任施工方式・設計監理方式、どちらの方式でも大規模修繕工事の契約をお受けいたします。 ★次回は「大規模修繕工事前のスケジュール~施工業者編」について紹介いたします。
2023.8.18
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大規模修繕工事前のスケジュール~管理組合編
大規模修繕工事前のスケジュール~管理組合編 前回までのコラムで、大規模修繕工事の計画時期と費用についてご理解いただけたと思います。 では、「管理組合」は大規模修繕工事にどのように関わっているのでしょうか? ~目次~ 1.管理組合とは 2.管理組合の役割とは 2-1.着工前(計画づくり) 2-2.工事期間中(監理) 2-3.工事完了後(次回大規模修繕工事に向けて準備) 3.まとめ 1.管理組合とは 分譲マンションを購入すると、購入した方(=区分所有者)は必ず「管理組合」に加入することになります。 これは、区分所有法第3条で加入を義務付けられているためです。 つまり「管理組合」とは、「区分所有者の団体」のことで、この中から「理事会」が発足し、総会で選出する「理事長」「会計」、 業務を遂行する「理事」、理事会を監査するための「監事」が置かれます。 2.管理組合の役割とは 管理組合と理事会の役割は「マンションの維持管理」になりますが、大規模修繕工事では管理組合に専門的な知識や ノウハウが不足していることが多く、管理会社や施工会社にすべて任せる傾向が見受けられます。 管理組合でも押さえておくべきポイントを確認して、支援を受けるべきこと、そうでないことをはっきり区分けしましょう。 ここからは、大規模修繕工事の実施に当たって、「着工前」「工事期間中」「完成後」の3段階で管理組合の役割を見ていきます。 2-1.着工前(計画づくり) 多くの分譲マンションでは、大規模修繕工事の準備を進める段階で「修繕委員会」を立ち上げています。 「修繕委員会」とは、大規模修繕工事を理事長以下役員だけで対応するのは大変なため、管理組合の中で、 理事会とは別に大規模修繕工事の検討を専門に行う委員会です。 次に、大規模修繕工事のパートナーとなる専門家(管理会社、設計事務所等)を決めます。 管理組合にとってふさわしいパートナー(工事内容やその進め方に不安がある場合、中立的立場からアドバイスをもらえる専門家)を 選定することが、大変重要になります。 そして、工事の発注方式を決定します。主な方式には①責任施工方式 ②設計監理方式 ③CM方式 があります。 いずれにも、「メリット」「デメリット」がありますので、どの方式が良いか、管理組合で議論して決めると良いでしょう。 発注方式決定後、施工専門業者に引き合いを行い、競争の上、施工業者を決定します。 ※住宅金融支援機構「大規模修繕の手引き」より出典 2-2.工事期間中(監理) 工事中は、区分所有者、施工会社等が協力しあい、関係者同士でしっかりコミュニケーションをとりながら工事を進めていきます。 <定例会議~広報> 管理組合、パートナーで定例会議を実施、都度対策を取っていきます。 また、区分所有者には工事内容や経過、期間を事前に知らせておく必要があります。 施工会社に資料作成を依頼して各住戸に配布、工事工程表の掲示をするなど、周知徹底をすることが必要です。 <工事進捗状況~補償内容確認> 工事の進捗状況のチェックや、区分所有者や近隣住民からのクレーム対応など、さまざまな役割があります。 竣工検査は、施工者検査➡工事監理者検査➡管理組合検査の順で行われます。 不具合が発見された場合には、施工業者に通知し、直ちに不具合箇所の是正をしてもらいます。 その後、竣工図書や工事保証書など受取り、保証内容等確認しておきます。 2-3. 工事完了後(次回大規模修繕工事に向けて準備) 工事完了後は、次の大規模修繕工事に向けて、書類・資料の保管や点検時期など維持管理に関して取り組みます。 竣工図書の保管 長期修繕計画の見直し アフター点検 保証期限前の点検、不具合補修 大規模修繕工事の主体は管理組合です。専門家と協力しながら、手続等公明正大に行い、 次回以降の大規模修繕工事に向けて工事記録やノウハウの引継ぎが出来るようにしておきましょう。 また、資金不足にならないように、長期修繕計画や修繕積立金の見直しの必要性もしっかりと検討していきましょう。 3.まとめ 大規模修繕工事は区分所有者が共同して費用を負担するものです。 日常生活にもかなり大きな影響を及ぼしますので、管理組合は区分所有者同士がしっかり協力し合う必要があります。 管理会社や施工会社に任せっきりにせず、協力し合いながら工事を進めていくことが重要です。 ******************************************************************************* 弊社は、躯体部分の大規模修繕工事を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事内容・工事範囲・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応させていただいております。 大規模修繕工事のことで気になる点がございましたら、株式会社大柿産業までお気軽にご相談ください! ★次回は「大規模修繕工事前のスケジュール~工事監理編」について紹介いたします。
2023.7.21
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大規模修繕工事はいつから計画しているの?
前回までのコラムで、大規模修繕工事の必要性がご理解いただけたと思います。 ではこの大規模修繕工事、いつの段階から工事計画を考え、費用を算出しているのでしょうか? ~目次~ ■長期修繕計画とは ■大規模修繕にかかる費用 ■修繕積立金とは ■まとめ ************************************************************************************************************* ■長期修繕計画とは まず、「大規模修繕」とは、建築基準法第二条15号に記されている 「建築物の主要構造部の一種以上についておこなう過半の修繕」のことを言います。 ※主要構造部とは「壁・柱・床・梁・屋根・階段」です また、給排水管やエレベーターの交換等、1回目、2回目、3回目と回数を重ねるごとに実施する内容も異なってきます。 マンションを購入された際に、売主であるデベロッパー、あるいはその代理・媒介業者から、 「長期修繕計画」の説明を受けていると思います。その計画に沿った修繕計画の中で 「大掛かりなもの」=「主要構造部の一種以上についておこなう過半の修繕」=「大規模修繕」になります。 つまり、「大規模修繕計画」は、マンションの建築時からすでに計画されていることになります。 もしお手元に、ご自身の住まわれているマンションの「長期修繕計画表」がございましたら、 いつ、どのような修繕を行う計画なのか、ぜひ確認されることをお勧めいたします。 「長期修繕計画」とは10年、20年、30年と長期的な期間を見据えて作成された計画です。 マンションに合わせて適切な計画見直しをしつつ定期的な点検・修繕を行い、その寿命の延長を図ったり、 快適な居住環境を確保したり、資産価値を維持することを目的としています。 「長期修繕」は建築基準法第八条に 「建築物の所有者、管理者または占有者は、その建物の敷地、構造および建築設備を 常時適法な状態に維持するよう努めなければならない。」 と記されています。 では、常時適法な状態に維持するために必要な資金計画は、どうなっているのでしょうか? 次は大規模修繕にかかる「費用」について考えていきましょう。 ■大規模修繕にかかる費用 大規模修繕の費用は、マンションの規模や構造によって異なります。 ここでは一般的な目安として、国土交通省が公表している大規模修繕の平均金額をご紹介します。 国土交通省が令和3年に調査した結果によると、マンションの大規模修繕の一戸あたりにかかった費用は、次のとおりです。 マンションの大規模修繕工事の一戸あたりにかかった費用 第1位:100万円~125万円(回答全体の27%) 第2位: 75万円~100万円(同24%) 第3位:125万円~150万円(同17.4%) ≪国土交通省令和3年調査結果≫ マンションの大規模修繕は、1回の大規模修繕で一戸あたり100万円前後かかると、調査結果が示しています。 ご自身のお住まいのマンション総戸数に100万円を掛けてみると、多額の費用がかかることが分かります。 ※総戸数100戸のマンションであれば、約100万円×100戸=約1億円の費用が1回の大規模修繕工事でかかる計算になります。 突然「大規模修繕をするから、100万円納めてください」と言われ、直ぐに出せる方はそう多くはないと思います。 そのため、区分所有者が毎月一定の「修繕積立金」を積み立てていきます。 ■修繕積立金とは マンションの共用部分の修繕工事は長い周期で実施されるものが多く、修繕工事の実施時には、多額の費用を要します。 こうした多額の費用を修繕工事の実施時に一括で納めることは、区分所有者にとって大きな負担となり、 区分所有者間の合意形成が困難であるほか、場合によっては、資金不足のため必要な修繕工事が実施できない、 といった事態にもなりかねません。 こうした事態を避けるため、将来予想される修繕工事に要する費用を、長期間にわたり計画的に積み立てていくのが、 「修繕積立金」です。 そして修繕積立金の算出は、前述した「長期修繕計画」が大変重要になります。 しかしながら、この長期修繕計画によって算出した修繕積立金では、 不足していると回答するマンションが平成30年度の調査で約35%存在します。 この不足分をを解消するために、新築マンション購入時や大規模修繕時に一時金を納めることもあります。 新築マンション購入時 大規模修繕時 ランニングコスト(毎月の修繕積立金)を低くするために、また、最初の大規模修繕時に予算が不足することを避けるために、新築マンション購入時に「修繕積立基金」としてまとまった費用を納めることがあります。 管理組合の財務状況によって、修繕費用が不足する場合があります。その場合に「修繕積立一時金」として専有面積に応じてまとまった費用を納めることがあります。 ■まとめ 大規模修繕はその工事期間のみならず、そのマンションを購入した時点から、大切な住まいの寿命の延長を図り、 快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するために、区分所有者一人一人がしっかりと向き合わないといけません。 そのためにも、 区分所有者は管理組合員としてマンションの定期検査等確認し、管理費・修繕積立金の使い方をチェックするようにしましょう。 ************************************************************************************************************* 弊社は、躯体部分の大規模修繕を専門としている事業部があり、経験豊富なスタッフをそろえております。 入居者様のライフスタイルや周辺環境にも考慮した工事内容・工事範囲・工事スケジュールを組み、 きめ細かいところまでアドバイスさせていただいております。 地域に根ざしているからこそできるフォロー体制で迅速に対応いたします。 大規模修繕のことで気になる点がございましたら、株式会社大柿産業までお気軽にご相談ください! ★次回は「大規模修繕工事前のスケジュール~管理組合編」について紹介いたします。
2023.6.16